【 コストダウン の ネタ 手法 及び その 提案】

CSMBLG2023007

【 コストダウン の ネタ 手法 及びその 提案 】

本記事は、ちまたでよく耳にするコトバ、キーワードなどを筆者の経験事例を踏まえた見解を記述するものです。

【 コストダウン の ネタ 手法 及びその 提案
コストダウンというと、まず無駄を省くことを思いつきます。例えば、会社の諸経費です。この諸経費に何があるかというと、出張費、文房具、交通費、接待費などです。会社にもよりますが、出張費用も安く設定されます。出張は出先での仕事です。移動手当やその他手当なども減額される場合もあります。筆者はかつて所属していた会社で、あるとき「出張も社内も同じ仕事だから出張手当はゼロ」という規則が生まれました。この時は、外に出ることが多い社員全員の反発があったようで、半年もしないうちに手当ゼロは無くなり、元に戻りました。出張に行くと、顧客から叱られたり文句を言われたりするのが多いものです。私も主張先の夜中の現場会議室で顧客から机を「バンバン」叩かれて責め立てられた経験があります。そういった見えないプレッシャーのためにも手当は必要です。内勤専門の社員がそういう手当などの制度を決めるので、外勤での顧客からのクレームの経験がないため、外に出ていく人のことなど知らないのです。
という様に、会社での経費にはそれなりの意味があると筆者は思います。ですので、一見無駄に見える、諸経費ですが、会社活動を円滑にする意味でも諸経費は減らすと、社員のモチベーションは下がって、結果、生産効率は下がります。
前置きが長くなりました。コストダウンのネタは諸経費ではなく別のものに着目しないと、企業としての活力が失われかねません。今回のコラムでは、技術者的とは別の観点での管理者的発想から、そういった提案もかねて記述したいと思います。

 

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 何を削減するか ~無駄は何か~


何が無駄かは、会社によって定義が必要です。必要か無駄かは目的と期待効果で決まります。
経営者、管理部門担当者、どんな人もコストダウンと聞いてまず初めに思う事は「無駄を省く」ことだと思います。多い事例としては「会社からすると意味がない」、「公平に考えると偏った考え」、「そもそも必要なのか」と考えて「会社のためには最良である」方法を立案します。しかし、この無駄というのは、人によって定義が違うことが多いと思います。一定のルールに基づく考え方をして「立案」するのですが、部門や職種によっては、「会社活動に大いに意味がある」、「公平さを保つ」、などがあります。極端な例になると思いますが、接待費はいかがでしょうか。例えば「工場の作業員」から見ると工場見学に来てくれた「お客さんへの食事の振る舞い」は「お客さん自身で準備するのが当たり前」と感じるのではないでしょうか。しかし、経営者や営業担当から見ると、「せっかく自社工場に見学してくれて、今後自社に発注してくれるかもしれないのだから、十分な見学をしてもらいたい。そのため、食事準備の手間を省く便宜を図った方が自社のPRになる」と考えます。つまり、立場や職種が違えば発想が異なるという事です。この、食事の振る舞いは「無駄」でしょうか。必ずしもそうとは言えないと思います。もちろん、行き過ぎた行為は問題ですが。その辺は社会通念に照らし合わせての判断です。
ということで、会社として「一般的な社会常識」を以て定義する必要があると考えます。「無駄」かどうかは、かける経費の目的とその達成度にあると考えます。

 


 コストダウンの事例、ネタ、アイデア


そうなると「無駄」とは何でしょうか。ここで「コストダウンにつながる無駄を省く

」を考えてみます。会社の将来や事業の活動に関連するものは無駄ではないと考えられます。すると、そうでないものは「無駄」や「余計なモノ」になります。

 

<事例1> 在庫か設計変更か

生産計画や販売計画を現実的に組めば、どちらも正解です。
例えば、部品や部材を多めに購入しておき、もしもに備えて「在庫」することを考えてみましょう。また、製造中止のアナウンスがあり在庫することも含めます。在庫は当然「将来の事業で使うもの」なので必要なモノに見えます。しかし、もし、これが、5年後、6年後に使わないものだったとしたときに(今在庫したばかりの際は「不要」とは誰も思いません)、誰もがその時に考えることは「無駄だった」ということです。在庫の考え方は会社によって様々だと思います。当然、一般的な考えに立つと、大体は「過去にさかのぼって考えると無駄だった」ことがあります。しかし、それが本当に「無駄だった」のでしょうか。少なくとも判断した時点では「無駄でなく」、必要な投資と言えると思います。むしろ、その在庫した部材を「積極活用しなかった」ことで「余ってしまい、無駄にした」ことの方を反省すべきと思います。あるいは、在庫しない方針で「設計変更をするのが当たり前」と考えるべきかもしれません。つまり、過去のことを「責める」のでなく、「将来の有益な施策」を考える方が建設的で生産性があると思います。ですので、「在庫」、「設計変更」について、各社それぞれの方針と考え方があるのでどちらも正解になると思います。
現実的な計画立案により費用対効果を検討できると思います。

 

<事例2> 作業の手戻りと重複

効率的な工程とするのも「設計」になります。
別の事例ですが、作業内容の「手戻り」や「重複」があります。会社の組織や業務の流れが規則やルールで決まっていると思います。製造部門で組み立てて、調整検査部門で調整・検査するという、一般的な流れがあります。その際、きょう体に内容物を全て組み込んで見かけ上の「完成品」ができあがるとしましょう。その後、調整検査部門で、きょう体のふたを開けて、内容物であるユニットやモジュールを調整・検査するとします。その後、再度ふたを閉じて、ようやく出荷できる完成品になります。一見普通の流れですが、明らかに「手戻り」が発生しています。見かけ上の「完成品」のふたを開けるなどで分解が始まっています。また、調整・検査後にふたを閉じています。これも「重複」作業と言えます。ふたを開けるのが玄関を開ける様な簡単なことなら気にも留めないでしょう。もし、ネジ50個も使って、ふたを閉めているとしたら、そのネジを外して付ける作業は結構大変な作業を重複して行っています。そこで、ふたを閉めるのは、ユニットやモジュールの調整後であれば、ふたの開け閉め、ネジの外し取付けの「重複」作業は削減できます。これも色々な状況があるので一概には言えませんが、少なくとも工程の工夫次第でこういう「手戻り」、「重複」作業は省略・削除できると思います。上記は、わかりやすい簡単な例での話ですが、実際の製造工程は複雑だと思うので、この例よりもっと大きな「手戻り」、「重複」が存在すると思います。
効率的な工程となる「設計」に留意すると良いと思います。

 

<事例からのコストダウンのネタとアイデア>

重要なことは、今までのことが「当たり前」と考えないことです。効率化を図るのは、工程を分解して、いつどこでなにをすると「無駄が無いか」を考えることにあります。
つまり、製造工程を「設計」する感覚と同じことです。ちなみに、これらの内容は例えば工程管理、工程の見える化を図るために、ツールを導入して工程管理のデジタル化をすれば効率化するでしょうか。当然、効率化には働きません。そもそも、無駄があるので、それをいくら見える化しても意味はありません。デジタル化するのは、最適な工程を作り上げたその次に仕組として「工程の見える化」で正当に管理できます。
以上の様に、無駄を省くことは、効率化を図るためのデジタル化とは違い、そもそも「どうすると一番都合が良いか」を考えてからになります。人間が最適性を考えた後に、人間でなくてもできることをパソコンや機械にやらせれば、効率は良くなります。
これらの考え方やアイデアを考えること、今までを疑い、最善を考えること。それが「投資対効果」に繋がると思います。

 


 事例を阻む3M


3Mとは、ムリ、ムダ、ムラのことです。(コストダウンの施策をすることとは関係なく、我々はこの、3Mを言う事があります。)
上記で、2つの事例を紹介しました。①在庫と設計変更のどちらを選択するか、②手戻りと重複を見つけて除去する、です。3Mはこの2つの事例でも当てはまります。
まず①在庫と設計変更ですが、以下が考えられます。(ジャッジ時点での話)

 

表3.1 在庫と設計変更に関する3Mによる弊害

3M 在庫 設計変更
ムリ 予算がない

(部材が高額、予算余裕がない)

変更作業できない

(作業する時間や能力がない)

ムダ 在庫すると資産になる

(税金を多く支払う)

設計費をかけるほどではない

(変更の費用対効果が低い)

ムラ 保管は自社倉庫

(品質と残数管理が必要)

設計出来具合の濃淡がある

(元々の設計者と違う)

* 在庫する部材の保管状態や会社のシステムによってムラがある

この場合は、実行するかどうかの阻害要因(阻む問題)としての内容なのでネガティブ要因になります。先程どちら(在庫するか設計変更するか)も正解と記述しました。つまり、会社の状態や出荷を考えた将来を検討した結果なので、その時々での判断になります。しかし、何をするにも3Mがついて回ります。これらのネガティブ要因がクリアになって実行する方向性が決まります。そのため、判断材料としてのエビデンス、集計、将来ビジョンはしっかりと用意しておく必要があります。そうしないと、5、6年後(早ければ2、3年後)に「責任問題」に発展する可能性があります。大した話ではありませんが、3Mは人のココロや組織の規則、その時の会社の財務状況でワルモノ探しの出発点になりかねません。それこそ、ムダなことで、コスト削減のムダを省くはずが、ムダを引き起こします。

次に②の手戻りと重複についてです。以下が考えられます。

表3.2 手戻りと重複に関する3Mによる弊害

3M 手戻り 重複
ムリ 工程を分割できない作り方

(規則や製造図面で決まっている)

工程上避けられない作業である

(規則や製造図面で決まっている)

ムダ 工程ごとに部門が仕切られている

(横断的にすると他に影響する)*

認識されるくらいの作業量である

(設計思想や非効率的な構造になる)

ムラ 一連の流れにボトルネックがある

(工程を止められない)

作業員の習熟度で工程に影響が出る

(安定的な時間予測ができない)

* 他部門と連携すると自部門の作業が止まるなど

この場合は、両方とも3Mになりコスト削減対象と言えます。しかし、組織的な面、規則、工程の性格、設計図面、などが阻害要因(阻む問題)と言えそうです。そうなると、色々な条件が出てくるので簡単ではありません。組織として対処するか、設計段階で設計方法、手法、考え方を改めるかなど手を加える必要はありそうです。設計図面であれば、設計者の教育が対策になりそうです。しかし、組織的な面の場合、工程上の問題としては簡単に行かないので、設計部門だけに留まらず、横断的な工程の見直しをする必要があると思います。
いずれにしても、問題は全体感という視点で認識されますが、問題を感じる部門が協力して改善していかないといけません。よくある話で、この変えるのを嫌がる風潮が出て3Mから抜け出せなくなるケースがあります。その場合は、事業責任者が改善を指揮していかないといけない必要がある事例だと思います。

 


 エンジニアリング観点での方策提案


事業責任者が改善を指揮しなければならないと上述しました。しかし、必ずしもそうとは限らず、プロジェクト遂行的発想でのエンジニアリング観点がポイントになります。
エンジニアリング観点での手段と使い方には以下が挙げられます。

①QC手法を用いた分析と改善実行
②デジタルアプリを使った効率化
③IT機材、OA機材の便利機能を使った効率化
④5ME(Man、Machine、Material、Method、Measurement、Enviroment)に基づく3Mの排除
⑤QCDRを考慮した改善のための5つの着眼点(別の機会に解説します)

①②③はツール的なもの、④⑤は考え方や意識的なものになります。ツールをどのように使うかということが、方策提案になります。

①は皆さんご存じの方も多いと思いますので説明は割愛します。②は例えばエクセルやオンラインミーティングアプリ等のデジタルツールやITツールを使った効率化。③例えば無線LANやバーコードリーダーなどを使って、自動化や手入力を減らす効率化。④は製造業で言われる5MEについて3Mでの改善を図ること。⑤はプロジェクト遂行での重要なQCDR(別コラム「コストダウンの方策、考え方」参照)について5つの視点で検討すること。
ということになります。

*エンジニアリング観点:工学的な発想と設計思想を背景とした「ものつくり」のための「視点とその意識」とします。

 


 実現するための行動  ~実行~


・デジタルツールは専門的なものを購入しないとできないかという事はありません。ちまたには、S△A、SA□、xxx奉行、〇〇会計ソフトなどがあります。これらは営業管理や経理支援用です。これらはあると便利ですが、使うのは人になります。そう考えると既存のエクセルを使って自動計算できるフォームを自分で作成して、それをテンプレート化して使えば新たに購入することはありません。やる気になればいつでもできるという事になります。

・3M(ムリ、ムダ、ムラ)を省くためにどういった項目で考えるかとして、5MEという製造業でよく言われる要素とするとわかりやすいです。

・プロジェクト遂行は、QCDRを考慮した計画立案と無理の無い実行をしなければなりません。製品開発ではQ(クオリティ:品質・要求性能)を実現することが第一です。また、必要になるC(コスト:経費・材料費)を算出し、可能とするD(デリバリー:期間・納期)を立案しなければなりません。そこでプロジェクト推進の前にR(リスク:起こり得る問題・阻害要因)を回避・容認などの管理水準を検討しておくことが重要です。なお、リスクはプロジェクト推進中に変化しますので都度管理します。

つまり、QCDRを考慮したエンジニアリング観点によってコストダウンを実現する活動ということになります。
ここでいう「エンジニアリング観点」は、=プロジェクトマネジメント ではありません。それよりも、実行する際のマインド、視点、目的意思をしっかり持たなければなりません。(プロジェクトマネジメントについては、教科書であるPMBOKやその解説書は沢山あるので、ここで記述しません。)

 


 まとめ


今回は、コストダウンのネタについて記述きました。一言でコストダウンと言っても様々なアプローチで実行することが可能です。出張手当、移動経費、接待費を削減するだけがコストダウンではありません。
そういったことから、別の意味で「攻めのコストダウン」と言えると思います。コストダウンを仕方なくやるのでなく、目的をもって積極的に行うことで、利益を増大化させることが可能であるという事例になります。

 

 

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