表題8 【エッジコンピューティング】 無線通信の役割について

 

質問8.1 エッジコンピューティングでの通信の位置づけは

回答8.1 分散型制御処理装置の入出力に情報を伝送するためには欠かせない技術
少なからず、高速演算処理をスタンドアローンで行える場合は問題ないが、自動車自動運転などの周囲環境に影響される場合には相互に認識しあう必要がある。5Gの様に高速データ伝送が可能になると個別での演算処理では間に合わないことから超高速処理をするマシンが必要になる(クラウドを介しての中央演算処理では情報伝送に時間がかかる)。そのため、分散型のエッジコンピューティングが採用され、伝送遅延をなくすための高信頼性な低遅延通信が可能な5GのURLLC技術が使用される。
{なお、エッジコンピューティングとは、利用者や端末と物理的に近い場所に処理装置(エッジプラットフォーム)を分散配置して、ネットワークの端点でデータ処理を行う技術の総称のこと。多くのデバイスが接続されるIoT時代となり提唱されるようになった。 エッジコンピューティングは分散コンピューティングの活用であり、サーバ処理とデータストレージをリクエスト元にネットワーク上距離を近づける事で、処理応答時間を改善し、バックボーン帯域幅を節約する事に寄与する。(ウィキペディア)}
とあるように、多くのデバイスの集合体でもあるため、より通信の品質と性能が要求される。

質問8.2 通信速度が高速でなければならない理由はなにか

回答8.2 AI処理結果などを迅速に伝送するため
エッジコンピューティングの代表例として、クラウド処理でなく、その手前の電算機で処理してしまうことがある。クラウドの手前に位置するのがエッジコンピューティング装置になり、そこで高速な処理を行う。そのためにエッジコンピューティング端末での処理の入出力は迅速で行わないと、システム的な時間遅延を起こしてしまう。
例えば、道路交通の自然渋滞に似ている。自然渋滞は、信号機や速度の遅い車両があることで生じるということがある。自動車は一般道では時速60kmであるが、信号で止まったり、自動車の数が増えてくると渋滞が発生する。同じように無線伝送で遅いものが一部発生すると、そこがボトルネックとなり、たちまち伝送待ちになることがある。これは、無線信号の伝送が複数ある場合、その処理では一般的に時系列で行われるため、順番に行われることから遅延が生じることになるという現象を引き起こす。
このように、エッジコンピューティング装置で高速処理を目的としていても、途中の無線伝送が混雑してくることで、システム的には良くない状態になってしまう。
それをさけるために、5Gでは低遅延(URLLC)技術により、無線伝送遅延を1m秒以下としている。
なお、AI処理などをエッジコンピューティング装置でなくクラウド処理とすると、無線伝送以外にネットワーク処理となるために全体的な処理遅延時間は100m秒単位になりかねない。その場合に自動車の自動運転等でクラウド処理すると迅速な動作は期待できないので自動運転は実現不可能と言える。そのためのエッジコンピューティングであり、その入出力信号の伝送は高速で低遅延でなければならない。

質問8.3 通信技術はどう変遷するか

回答8.3 4G+5Gの併用から5Gオンリーに変遷する
5Gのみの基地局は2022年では装備化は中途である。そこで、4G+5Gのノンスタンドアローン(NSA)で通信を併用しつつ、2030年を目途に5Gオンリーのスタンドアローン(SA)と変遷する計画である。
例えば、携帯電話は3Gから4GのLTEに編成していったが、全ての携帯電話が一斉に4GのLTEに変わることはない。そのために移行期間が設けられた。今では、ほとんど4Gに入れ替わっている。それ以前では、2Gのアナログ携帯電話から3Gのデジタル電話方式に変わった歴史もある。
ところで、低遅延の無線伝送を保証しているのは5Gなので、4Gではエッジコンピューティングの性能を発揮することは難しい。そのため、真にエッジコンピューティング機能を使用するのは、5G基地局が拡充される必要がある。
現在では、サブ6と言われる6GHz以下の周波数で5Gを整備しており、28GHz帯の周波数の拡充はこれからになる。そのため、エッジコンピューティング機能の活躍は未だ細々としているのが現状であるが、2030年までにはその機能を十分に発揮されることが期待される。

質問8.4 無線通信に期待されることはなにか

回答8.4 高速で多接続が可能であることが期待される
5Gの技術要件は、高速大容量通信10Gbps(eMBB)、多接続100万台/km2(mMTC)、低遅延1m秒(URLLC)の3つである。そのうち、エッジコンピューティングの最も有力視されている機能は高速化である。しかし、自動車自動運転、ドローン、高速IoTなどでの展開を想定しているため、低遅延だけでなく高速、多接続でなければ市場での価値はない。
例えば、現在ではオンライン会議のアプリの種類も多く、利用者も多くなっている。初期の頃はSkypeの様に1対1でのオンラインが多かったが、同時多数のオンライン会議も可能となっている。このように、初期の頃は少ないが、その利用効果が高くなれば、利用者数は増加していく。これと同じで、エッジコンピューティング機能は多くの場面で使用されるのが当たり前になってくることから、高速で多接続でなければならない。
従って、無線通信に期待されるものが、eMBB、mMTC、URLLCの3つということで、5Gの技術要件として開発されている。これらの機能性能が充実して初めてエッジコンピューティング機能が発揮される世界になる。

質問8.5 将来的な構想はどのようになるのか

回答8.5 5Gだけでなく他のネットワークが共存した総合的な通信ネットワークが期待
5Gの基地局整備、拡充は様々な社会的な都合があり、そう簡単に行かないと想定される。そのため、基幹系としての5Gでなく、ローカル5Gという個別のプライベートネットワークの整備が進んでいる。ところで、無線通信ネットワークは5Gだけではない。Wi-Fiを使用したインターネットの通信ネットワークも存在する。また、その他にLPWAと言われるIoTをメインと想定された低速のネットワークも現れてきている。
例えば、道路交通での乗り物では、自動車の他、オートバイ、自転車もある。これらは、用途に応じて人々は乗り分けている。近所の公園行くのにわざわざ自動車で行かなくても手軽に自転車で行ける。これと同じで、通信する情報の性格から、無線通信する手段を変える。
このように様々な通信手段を用途に応じて使い分け相互に補完して運用していく総合的なネットワークとなっていく。
このように、様々なネットワークを統合して活用する概念として、ヘテロジニアスネットワークと呼び総合的な運用を考えている。
従って、無線通信ネットワーク全体としては、用途に応じたネットワークの集合体として存在し、エッジコンピューティング機能を使用するネットワークとして5Gやローカル5Gが存在することになる。多くの無線通信ネットワークが相互に乗り入れできる様な集合体に変遷していく構想と言える。

(参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000736912.pdf