表題7 【通信に関する将来性】 電波を使わない通信について

質問7.1 有線通信の代表例は何があるか

回答7.1 固定電話、インターフォン、乗り物などの制御
固定電話やインターフォンは家庭やオフィスで使用されているのでわかりやすい。最も身近であり、もしもし、ハイハイという音声での連絡通話として使われている。しかし、乗り物などでの制御となると「通信」と聞いてもイメージがつかないかもしれない。
例えば、自動車での運転席からエンジンを始動させることも通信が使われている。昔は、電気信号の入り切りだけで、エンジンを始動させていた。最近では、もちろん電気信号の入り切りが切っ掛けとなるが、その信号を基にして、エンジンへ燃料を送るキャブレターやスパークプラグの動作タイミングをコンピュータ制御しており、このコンピュータ制御に有線通信が使われている。その後はエンジンの状態を監視するための信号を車両のコンピュータが受信して、運転席の操作パネル(インスツルメントパネル:略称でインパネ)で表示している。スピード、回転速度、燃料等の状態を表示している。特に電気自動車(EV)では、当たり前になってきている。同じことが、航空機やオートバイ、電動自転車にも似たような機構が備わっている。
従って、およそ世の中にある装置は、通信の機能を有しているものがほとんどなのである。

質問7.2 赤外線通信の長所と短所

回答7.2 長所:使い勝手がよい。短所:ものに隠れると通信できない。
赤外線は電磁波になり電波でないことから電波法等の法規制の制限が無い。そのため、製造者側からはリモコンとして簡単に採用しやすい。テレビやエアコン等では独自で開発しているが、スマホなどで相互の赤外線通信で簡易的にデータをやり取りすることができて便利な機能である。これに関してはIrDAという近距離データ通信の技術標準を決める団体で規格化されている。しかし、赤外線通信は光通信での無線通信の一種なので、光が遮られると通信できなくなる欠点がある。ちなみに光波は、物体でなくとも伝送路である空間の状態(煙、ガス、水滴)などにも非常に大きな影響を受ける。
ところでテレビのリモコンはどんなに離れても使えるだろうか。普通は5m程度くらいしか使えない。例えば、野球などで監督からブロックサインを見てプレーをするということを考えてみる。ブロックサインは監督がジェスチャーで選手に指示するものである。もしこれが、スマホの画面の文字を選手に見せて指示するとした場合、スマホ画面は小さいので選手は文字や図は読み取れない。これは、何かしているが判定できないものになっているという点で、信号が届いていない、あるいは信号が微弱であることと同じである。赤外線の光が遠くまで届かないでテレビのリモコンが使えないのと同じである。光が遮られるだけでなく遠くても届かない状態もある。
従って、赤外線通信を有効に使うためには、その使用条件を考えておかないと使えないものになってしまう。そのため、どのように使うのかのシステム設計をしておかないと便利であるはずが使えないものになってしまうので注意が必要である。

質問7.3 光通信の将来展望はどうなるか

回答7.3 更に高速大容量化となり、ネットワークの基幹通信として確立する
現在では光通信の伝送速度は1000Gbps程度であり高速化が進んでいる。この高速化には、光通信の伝送路である光ファイバの材質を良好とする流れと伝送方法の進歩によるところが大きい。これまで、光ファイバでの通信は、光源である半導体レーザでの点滅信号状態を伝送する。それをファイバを通して受光器であるフォトダイードで受信するものである。光ファイバでの伝送では光の伝達の際にモレや反射等の物理現象による分散という状態が発生することから劣化してしまう。(なお、光ファイバの伝送劣化は、電線での電気信号の伝送より劣化しにくい。) この光ファイバの伝送劣化はファイバの材質によるものが大きいため、影響を受けにくい材料が研究され続けている。一方で、信号そのものの伝送に工夫をすることで高速化を実現する技術が研究され実用化されている。コヒーレント光伝送技術や信号処理技術を活用しての変復調技術を応用したデジタルコヒーレント技術などがある。
例えば、自動車での排ガスを減らすため、エンジンの燃料の燃焼の効率化を図る技術を進歩させることが光ファイバの材質をよくすることに近いなら、駆動動力をエンジンだけでなく電気モータを併用するハイブリッドにしてしまうなど、新しい技術を開発するのが、デジタルコヒーレント技術みたいなものと思うとわかりやすいかもしれない。
従って、光ファイバによる光通信は、今後も高速大容量化することになる。それにはこれまでの伝送路である光ファイバの高性能化と伝送方式の新技術開発の両面で進展していく。光通信の高速大容量化が進むことにより、画像や音声の通信の高品質化や遠隔操作などの精密化などにもつながっていくことが予想される。それに応じて、全く新しいサービスが生まれてくるかもしれない。昔はSFの世界だけだったハンディ機でのテレビ電話はスマホで実現している。VR、ARなどが進化しMRとして、様々な情報を伝送することさえ実現している。今は考えもつかない便利なサービスが実現するのも夢ではない。

質問7.4 光無線通信とはどういうものか

回答7.4 光信号を光ファイバでの有線通信でなく、無線通信として使用するもの
電波でなく光を通信信号として使用するものであり、電波でないことから電波法などの法規に関係なく使用することができる。赤外線通信やIrDAも光無線通信の一種である。
光ファイバ通信での光のON/OFFで信号を伝送させるものと同じである。以前は天候などの妨害により効率が悪いとされていたが、技術の進歩によりメガビット毎秒からギガビット毎秒程度の通信速度が得られるようになったこと、また、近年の電波による無線通信の需要増による電波資源の逼迫などの事情から、今後の有力な近距離通信手段として注目されている。最も使われる用途では、携帯電話同士での光通信がその一例にあたる。元々、光ファイバ有線通信が不可能な場所での中継的な使い方での運用であった。光無線通信を使用して、光無線LANというものも登場している。主に赤外線を使用した無線LANである。通信できる範囲が光の到達する範囲内で限られている為、秘匿性に優れる。
従って、光が届かない範囲(障害物や天候など)での環境下では通信することができない通信ではあるが、高速伝送が期待できることもあり、環境と用途に応じて有効な通信手段と言える。

質問7.5 電波を使わない通信は今後どのように発展するか

回答7.5 簡易的なリモコンや見通しできる環境で情報伝送に使用される
電波はある程度障害物を突き抜けたり回折したりできるので服の中にしまった車のリモコンキー等との通信ができる。しかし、赤外線や可視光が媒体になると、光が「見えない」状態では通信ができない。そうなると、いわゆる「見通し」が効かないと通信できないので、目の前にあるテレビやエアコンのリモコンに使うのが使いやすい。基本的に無線通信は便利にするための技術と言えるので、使用している装置本体の操作に適しているかどうかが無線として、電波なのか赤外線を使うのかで判断できる。
例えば、飛行機や鉄塔にランプがついている。これは、自己位置を知らせるためにランプを点灯させている。これも立派な通信(そこに居る居ない、有るな無しを伝送する)なので見える状態であれば通信できている。もしそれが電波だとするとそのための装置が必要になるが、人間の目で判断できるという点では非常に優れた「通信」となる。
つまり、こうしたリモコンは期待動作のために運用、使い勝手を考えたシステムとして考えられているといえる。
これにも少し問題があり、雲やもやがかかると見えなくなるので通信できなくなるという状態になる。しかし、ランプの色や発光強度により目的を果たすことも可能である。
従って、使用する状況や環境に合わせた装置を準備することで、システム的には十分使用することが可能であり、費用対効果が良くなる場合もある。無線通信は必ずしも電波でなければならないという訳ではないということになるので、装置の運用やその状況を想定した仕様とすれば、非常に便利なモノであることに間違いはない。