表題5【無線LAN】 無線LAN(Wi-Fi)をうまく活用するには

 

質問5.1 無線LAN(Wi-Fi)は、携帯電話と違い無料にできるのか

回答5.1 SIMカードの様な物理的制限がないため無料にしやすい
携帯電話ではSIMカードという電話番号などのIDを持っている。そのため、回線使用時に課金しやすい。しかし、無線LANでは、通信するための基本的に物理的な制限がない。プロバイダとの契約で無線LANの使用で料金を取られている場合は有料であるが、基本的にSSIDという無線LANの入り口にパスフレーズを入力すれば誰でも使用できるため、無料にしやすい。
例えば、公共無線LANでは、SSID、パスフレーズを公開しているので、誰でも使用することが可能である。なお、携帯電話でもLTEの回線を使用する際は有料であるが、無線LANを使用した通信であれば無料で使用できる。携帯電話の音声通信はVoLTE(ボルテ:ボイスオーバLTE)というLTEの回線を使用した通信を行うので有料であるが、もしVoIPの様な機能を携帯電話が持っていれば無料通話が可能になる。ただし、回線を提供する事業者が「有料サービス」とすれば、無線LANといえども有料になる。
従って、無線LANはSIMカードの様な物理的な制約が無いため無料サービスにしやすい。しかし、携帯電話ではSIMカードがあるので使用回線はSIM一つに一つの回線として課金している。携帯電話のキャリア各社は、電話使用時間に応じて、あるいはLTEのデータ通信容量に応じて料金を発生させるビジネスモデルとしている。なお、有料なので当然キャリア各社は携帯電話の使用について保証するため、日々携帯基地局と呼ばれるアクセスポイントの検査をしている。無線LANは、無料であるため通じるかどうかの保証はあまりされない。これは、事業者がどこまでサービスを保証するかで決まってくる。

 

質問5.2 無線LAN(Wi-Fi)の特長はなにか?

回答5.2 1つの無線アクセスポイントで複数のLAN通信を無線でほぼ同時に行えること
無線LANは1つの無線アクセスポイントで多数の無線端末に接続でき、ほぼ同時に通信することが可能である。ほぼ同時というのは高速で時分割通信処理をしているため、ほぼ同時に使用しているように見えることからである。無線アクセスポイントは、決ったデータフレームの送受を端末と行うと、別の端末と通信する。それが終わると、別の端末と通信するという具合に通信処理を行っていく。複数の端末と通信するにも限界があり、それを超えると途端に通信の速度が遅くなることがある。また、遅い通信処理をする端末があれば、それが全体の通信の速度にも影響することになることもある。
例えば、将棋の名人が1人いて、複数の相手と対戦するようなものである。1手打っては次の人の相手を行い1手打ってまた別の人と対戦するという感じで一回りするようなものである。もちろん無線アクセスポイントには将棋の様に考えることはできないのでそこは違うが、複数の相手をするという意味では同じ様なものと言える。そこで、もし、名人の対戦相手で誰かが考え込んでしまうとそこはスキップできる。これは端末が通信していない状態みたいなもの。しかし、逆に名人が考え込んでしまった場合は、そこで複数将棋の流れが止まってしまう。これは、通信の量に対して通信路が不安定でなかなか1つのフレームの処理が終わらないようなものに似ている。
従って、無線アクセスポイントはほぼ同時に複数と無線通信できるが、もし、何らかの無線通信の環境が変わってしまった場合には、途端に通信速度が遅くなり、全体の通信に影響が出てくる。同時に複数の通信ができる全体の伝送容量をスループットと呼び、無線アクセスポイントの性能の指標の一つとされている。

 

質問5.3 無線LAN(Wi-Fi)を使うための方法は何がありどうすればよいか

回答5.3 屋内LANの無線化、公衆Wi-Fi、モバイルWi-Fiの3つがある
大きく3つの方法が考えられる。①基幹系ネットワークから引き込んだ屋内LANを無線LAN化する。これは、企業でのLANの途中あるいは末端に無線アクセスポイントを設置することで無線LAN環境ができる。②公衆Wi-Fiを利用する。街中、店舗で用意している公衆Wi-Fiがあるので、所定のSSIDにパスフレーズを入力(フリーの場合もある)して使用できる。③LTE回線を利用したモバイルWi-Fiを準備する。LTEの回線の先にネットワーク接続できるので、それを経由したIPネットワークに接続する方法になる。
これらは、それぞれ一長一短であり使用する状況にもよるので、都度用途にあった方法を選択することになる。
例えば、車で移動する場合を考えると、①は自家用車・社有車、②はタクシーやバス、③はレンタカーの様なイメージと言える。
維持費用、料金体系、使い勝手の面がそれぞれあるため、シチュエーションにより都度切換えて使用するのが良い。①は自前なので割と自由に使用できるが維持費がかかるし、②は割と自由に使用できる反面、周囲に気を遣う、誰かに見られるというセキュリティの面があり、③は自分で占有して使えるが使った分だけ料金がかかるという具合である。

 

質問5.4 無線LAN(Wi-Fi)を使用して応用使用例には何があるか

回答5.4 広義のIoTとして様々な機器のリモートコントロールが可能
無線LANの一般的な使用はインターネットにつなげることになるが、基本的にLANの機能を持っているため、このLANに接続されているものであれば、データの読み書きが可能である。そのことから、LAN経由、ネットワーク経由でIoT機器の遠隔制御が可能である。応用使用例としては、その延長上で、AGV(Automated Guided Vehicle)、ドローンなどのリモートコントロールも可能である。ただし、無線LANの電波が届く範囲に限られる。
例えば、IoTという言葉があるが、これは様々な機器をインターネット経由でつなげてしまおうという、LANの応用と言える。自宅の風呂給湯器がネットワークに接続されてれば、ブラウザ等で「自宅のお風呂の電源入り」として遠隔制御できる。ネットワークカメラ等で遠隔地の様子を見る。ということが可能である。更に応用の上級編として、AGVを制御、監視するということも可能である。(基本的にAGVには自律制御の機能は持っていないと厳しいものがあるが。)工場内での監視制御装置で「A地点からB地点へ荷物を搬送する」というようなことをプログラミングして、その挙動を監視し、稼働状態や危険防止のために無線LANで監視制御するということが実際に行われている。空中を浮遊するドローンでも無線LAN電波が届けば監視制御は可能である。
ここで、無線LANの特徴の一つにローミングというのがある。これは、あるアクセスポイントの電波覆域を超えた時に別のアクセスポイントの電波に切り換えるという機能である。これを使えば、時速4、5km程度の速度であれば十分に制御は可能と考えられる。
従って、IoTはネットワーク経由やLANでのリモートコントロールであり、これを無線LANで行えば、移動する物体に関してもリモートコントロールできるという応用的な使用方法が可能である。

 

質問5.5 無線LAN(Wi-Fi)の不得意とすることは何か

回答5.5 高速移動での通信状態維持は不得意である(そもそも規格にない、想定外である)
もともと無線LANでは移動しながらの運用は想定されていないので、歩いて移動する程度であれば複数の無線アクセスポイントでローミングして通信状態維持をすることはできる。しかし、無線LAN電波は10m~20m程度の到達距離であるので、自動車の速度(時速60kmだとすると1秒で16.6m移動)とした場合、複数のアクセスポイントがあってもローミング切り換えが1、2秒でアクセスポイントが2、3切り換わるので現実的でない。
例えば、携帯電話、LTEは基地局間隔が10km程度カバーしているので、自動車速度(時速60km)の場合、基地局1つで10分は継続できる。乱暴な言い方をすれば、無線LANと携帯電話のもともとの電波強度が違うという理由もありその差が出ているといえる。
従って、無線LANは高速移動でなく、固定して使うという前提で使用することで、その機能を最大限に活かすことができる。