表題4【無線通信一般】 通信装置は、なぜ多品種あり使い分けをするのか

 

質問4.1 なぜ様々な周波数があり、多種の無線装置が存在するのか?

回答4.1 目的により最適である通信手段となるように周波数を使い分けるため
用途に応じて無線装置には多くの種類がある。また、無線装置では色々な周波数帯が使われている。これは、通信距離や通達性の関係からシステムに応じて最適化されている。
なぜなら、用途に応じて、伝えたい情報の目的が異なるためである。これは、情報には旬があって、その時々で変わっている。
例えば、航空機の無線は、短波帯(HF)、超短波帯(VHF)、極超短波帯(UHF)で目的が違う。空港から500km以上離れているときはHFを使う。航空機が今どういう状態か等の情報伝送で緊急性は低いため、少ない情報量や確達性は低くても問題ない。100kmくらいからVHFになりそろそろ着陸態勢になるというと情報量が増加し、確達性が必要となってくる。更に、30kmともなるといよいよ着陸態勢となり、UHFでの広帯域で安定通信により緊急度や確達性に対応しなければならない。また、周波数帯は通達距離にも関係する。HFは電離層反射通信とも言われ、長距離伝送が可能である。VHF、UHFは直接波通信と言われる。VHFの方は伝送ロスが少ないが狭帯域で情報量が少ない。UHFは伝送ロスが大きい反面情報量が大きい。
そのため、様々な用途のそれぞれの運用に応じて最適な周波数を使って、目的を達成することが必要になる。
*距離は正確ではないが、理解しやすくするための例示である。

 

質問4.2 なぜ、インターネットなどネットワークに接続する通信方法が色々あるのか?

回答4.2 使われる環境に合った通信方法が要求されているから
運用の環境や状態によって通信可能な手段や方法で最適化を図るため。通信容量にも関係する。なお、インターネットに接続する手段には、有線LAN、無線LAN(Wi-Fi)、LTE(4G/5G)、WiMaxなどがある。最近ではIoT等で使われるLPWAもある。
例えば、デスクトップパソコンを移動しながら使うことはしない。その場合は有線LANになる。ノートパソコンは、喫茶店や集会場などに持ち運ぶことができるが、これも移動しながら使うことはほとんどないので、簡便に通信接続できる無線LAN(Wi-Fi)を使う。スマートホンは、移動して使う前提であることからLTE(4G/5G)やWiMaxを使う。工場や電気料金の自動課金等で使われるIoT機器はそれほど大きなデータ量では無いので、LPWAで低電力化されて使われている。いずれも、用途に応じて使い分けられている。
そのため、情報量、固定か移動か、長期間使い続けるか等で様々な通信方法が用意されてきている。これまでは、固定で使われることが多く、移動しながらの用途は例えば警察や消防などの緊急車両などであったため、専用無線機を使っていた。しかし、通信機を作るための部品や性能が上がったことにより、シーズが生まれ誰もがスマホを持つことができたことで、ニーズとなった。今では誰もが通信機という概念を持たずに通信機能を享受している。

 

質問4.3 なぜ通信機が多品種あるのか?1つにまとめられないのか

回答4.3 用途や予算に応じて通信機材を設計しているからである
目的とした伝送する情報の種類によって機器の機能性能の最適化を図った結果であり、基本的に無駄や不足が無い。
なぜなら、伝送情報は、大きい/小さい、粗い/細かい、間違っては困る/多少間違ってもよいなどの性格があるため、全ての要件を満たすことをすると、通信機は高価、大型、消費電力大になりやすいので、運用条件を考えて最適化する。1つにまとめることもできるが、大概は大型化する。あるいは、機器の性能を上げるため、高性能の部品を使わなければならなくなることから、高額になる。
例えば、調理用器具で店舗用と家庭用があるが、当然目的が違うので大きさが違う。また、皿やスプーンでも、何に使うかで分かれている様に種類がある。コーヒーを飲むのに、お玉は一般的に使わない。通信機も同じで、小さいデータを扱っているのに最先端技術のモバイル5G通信は使わない(使っても良いが、コストパフォーマンスが悪い)。大は小を兼ねるとも言うが、一人分の料理を作るのにわざわざ寸胴鍋は使わない。
そのため、用途に応じた通信機を用意した方が使い勝手も良いし、コストパフォーマンスは極めて良い。

 

質問4.4 通信機は複数用意しないで1つにまとめられるか

回答4.4 まとめることはできるが、運用条件による
機能としては1つにまとめることはできるが、運用条件によってできることとできないことがでる。なお、費用対効果や運用に支障が出る可能性がある。
なぜなら、通信は信号の伝送になるので情報を運ぶことができるかどうかで決まる。山奥や海洋で通信するための通信機として普通スマホは使わないで、専用の無線機が準備される。これは通達距離を考えると使用する周波数が大きく関係し、HF帯やVHF帯が使われる。場合によっては衛星通信だったりする。
例えば、街中ではスマホが当たり前に使われる。スマホは電話、インターネットで使用できる。Bluetoothも内蔵されているのでスピーカ等のオーディオ機器とも接続できる。これが通信機能をまとめた1つの例と言える。しかし、スマホはLTEという3GPPという共同体での通信規格の様なものだが、スマホとまず最初に繋がるのは、基地局と言われるアクセスポイントか無線LANであるWi-Fiになる。これらと繋がらないと電話もインターネットもできない。基地局はおよそ数百m~十数km四方に設置されている。このサービスエリア外だとスマホは繋がらない。そこを山奥でも使えるようにするには別の手段を使う必要があり、スマホに衛星通信の機能を持たせるということがある。衛星電話のイリジウムというサービスがあるが、それを使うためにはそれ用の装置を組み込まなくてはならない。通常そこまで対応しているものは無い。
そのため、通信機能としては1つに統合できるが、運用と費用対効果を考えると1つにまとめるには設計段階で要求仕様を検討する必要がある。

 

質問4.5 スマホでアプリを入れ換える様に、用途で通信手段を切換えられないのか

回答4.5 通信手段を変えることはできる。しかし、劇的な変更はできない。
スマホはアプリを自由に切換えることができる通信機である。通信手段の変更として、1対1の電話通信のものを1体多のIP無線の機能をアプリで実現することはできる。しかし、元々の使われる周波数帯は800MHz~3GHzで設計されており、この高周波部分はハードウエアで構成されていることから変更することは通常できない。(この部分を変更するように設計されていれば、理論上可能だが、費用対効果とのトレードオフとなる)
なぜなら、アプリはハードウエアで動作環境が決まっているため、ハードウエアが対応できる範囲になるからである。
例えば、パソコンにタブレット端末のソフトを入れたとして、ディスプレーを手で触って対象物を拡大したり縮小したりスクロールしたりできない。ディスプレーがタッチパネル対応であればできるとは思う。つまり、機械自体のハードウエアが対応していないのであればできる機能は限られる。
同じ事で、ノートパソコンはWi-Fi対応がほとんどであるが、消防無線と通信することができない。これは、消防無線と無線通信するためのハードウエアが装着されていないためである。Wi-Fiの電波でできることであれば、アプリで変更することは可能である。
従って、通信手段の変更は使い方を変えることはできるが、大きな用途までは変える事は普通できない。もしそれを可能としたいなら、それ用のハードウエアを装着することをしなければならない。
なお、様々な運用や用途を変えるために、ソフトウエア無線機という概念がある。これは、様々な運用シーンに対応するためにハードウエアを準備して、アプリケーションとして変調方式を変えたりすることにより、用途が変えられる。例えば、警察無線と消防無線を無線通信できる様にすることができる。一般的に、周波数帯ごとにハードウエアを用意し、変復調するための処理部のアプリを変えることで対応するものである。
これの良い点は、例えば、災害時などで警察と消防が連携して活動するために災害自体応用の無線機を用意していなくても、自分達の持っている無線機のアプリを変えるだけで対応することができる様になることである。