表題3【通信5G化に関する問題】 自動車自動運転の電磁ノイズについて

 

質問3.1 自動車の電動化、自動車自動運転に関してどの様な電磁ノイズが発生するか?

回答3.1 自動車の電動化に伴い中波~短波(300kHz~30MHz)のノイズ発生可能性
自動車の電動化には電源のインバータ、コンバータが使われる。これらは、中波、短波帯のノイズを発生させる。
なぜなら、一般的なインバータ、コンバータの発振周波数は100kHz~3MHzのものが多い。これは、電源容量に対応できる素子はそれほど高周波に対応できる素子が現存していないことが理由である。エネルギーを高く設定するため周波数を高くしても3MHz程度が限界である。その結果、高調波である30MHz程度までが電磁ノイズとして放射される。
例えば、発振周波数が100kHzであると、正弦波を発生しても必ず歪み成分が発生するため、放射ノイズの成分として10~20倍の高調波が小さいながらも含まれる。
そのため、自動車の電動化に伴い、電源変換器の必要性から中波、短波帯のノイズが発生する。短波帯のノイズが多いのはそうした理由も含まれている。

 

質問3.2 電磁ノイズ環境下で5G通信への影響は何があるか?

回答3.2 5G通信で自動運転制御に使用されるIoT機器に影響が大きい
自動車の自動運転では、5G通信だけで無く、いわゆるIoTという機器に多く使われることになる。自動車の自動運転を支える、制御ユニット(MPU)や自動車内で制御する電気伝送信号は高速化になる。電気信号が高速化になると、少しの外乱で伝送信号の電気的バランスが崩れやすくなる。このことから、電磁ノイズレベルは微弱でも小電力化・低電圧化しているMPUの制御信号に影響が出る可能性がある。そうなると、伝送信号の誤りから誤動作に繋がる。
例えば、走る自転車はバランスが取れている。そこに小石や段差があると途端にバランスを崩し、場合によっては転倒してしまうことに似ている。電気信号の伝送も同じことが起こりえるため、外乱があると高速信号は不整合を起こし波形の歪みや伝送反射が発生する。
そのため、省電力で動作している制御機器の電気信号伝送に誤りが発生することからIoT機器の誤動作となってしまう可能性が高い。

 

質問3.3 5G通信で制御される際の自動運転で留意すべき点は何か?

回答3.3 高速信号伝送の安定化をはかる
5G通信は高速無線伝送であり、電波受信後もユニット内で高速信号が伝送される。高速信号伝送では電気的バランスが乱れやすいことを、回答3.2で記述した。この電気的バランスを維持することが最も留意しなければならない点である。
例えば、自転車が小石などで転倒しない様にするためには、タイヤを太くしたり自転車の重量を重くするなどが考えられる。それと同じで電気信号を安定化するため伝送路を太くする、インピーダンスを安定化するなどの措置をとる。具体的には、伝送線路に集中常数でインピーダンスをダンプ(抵抗体などで強制的に50Ωにする等)するなどが対策として考えられる。
そのため、最も留意する点は、信号伝送の安定化のため、伝送路が外乱で乱れにくくすることである。

質問3.4 自動運転を安定化(安全化)する手段が知りたい

回答3.4 電磁ノイズ対策として電磁シールドとアースが有効である。
電磁シールドには大きく2つあり、電界シールド、磁気シールドがある。これらは、電界シールド→金属体(主に銅、アルミ)と磁気シールド→鉄(パーマロイなど)で対策できる。このシールドが性能を発揮するために重要なことは、接地(アース)が強固なものでなければならない。自動車は精密機器とは異なり「むき出し」の配線が多いので、様々なリスクや問題を想定しておかないと、他の電波を使う電装品(GPS、ETC、VICS等)の動作が不安定になる可能性がある。
例えば、建物が台風や地震などの天災に見舞われた際、いくら屋根や壁が頑丈なものでも建物の基礎や柱がしっかりしていなければ、たちどころに崩れてしまう。それと同じで、シールドが施されていても、電磁ノイズは不要電気信号なのでそれを逃がす経路を作らないとシールドの効果が薄くなる。ノイズを効率良く除去するためにアースが土台となっている。
そのため、電磁シールドは効果的な手段であるが、アースを考慮する必要がある。

 

質問3.5 自動運転を行う際、電磁ノイズ環境下でも5G通信が可能となる条件は何か?

回答3.5 伝送信号に誤りを極力減らし、無線信号伝送の正確さが条件である
正確な信号伝送は、電磁シールド、アース、信号の弁別を確実に行うことである。自動運転は、伝送信号の誤りで誤動作をする可能性があり、誤りを極力減らすことをしなければならない。誤りに対して積極的に誤り訂正機能を持っていても信号が誤りだらけならば、誤り制御はその機能を満足しない。
例えば、携帯電話で音が途切れることがあっても1文字程度なら、人間の頭の中で予測がつく。しかし、途切れ途切れになると、さすがに予測がつかなくなり、何を言っているか分らなくなる。
そのため、信号伝送の正確さが5G通信だけでなく無線通信として考えると、正確な信号伝送が最も重要な条件と言える。